ニュートラル、ウォーム、ブライト…それぞれの音の違いって?

オーディオ

この記事は、Alex Rowe氏の記事「Audio Dictionary: “Warm” vs “Neutral” vs “Bright,” and the role your brain plays in all this」を翻訳したものです。

 


 

“このヘッドホン(イヤホン)はブライトだな、耳が痛い!”

“このスピーカーはすごいウォームで音楽的だ”

“私は制作ではニュートラルなモニターヘッドホンしか使いません”

オーディオ機器を説明するために、たくさんの単語が投げかけられます。

あなたは今までにヘッドホンやスピーカーのレビューを読んだことがありますか?それなら、この記事のタイトルにある3つの用語を見たことがあるでしょう。しかし、これらが本当にどういう意味かを理解していますか? どんな種類の音を表していますか?
できるだけ、非技術的な方法で説明してみましょう。

 

これはネットで人気の、オーディオ・テクニカの M50Xです。これをニュートラルと説明する方々がいますが、私はちょっとブライトと表現します。どういう意味でしょうか?確認しましょう。 

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ニュートラル

ニュートラルな音というのは、ハイエンド・オーディオの聖杯と呼ぶべき到達点です。オーディオマニアは本当の意味でピュアなオーディオを聴くことを目指し、熱意に燃えているのです。

ただ、そういった方々には残念なことですが、「ニュートラル」は実際には存在しないのです。

本当にニュートラルなヘッドホンやスピーカーというのはサウンドの全ての周波数を均等に、1デシベルの差異もなく再現するというものですが、物理法則がこれを困難にしています。
ヘッドホンやスピーカーは、人間の声が人それぞれ異なるのと同じように、それぞれの設計によって個性を持っているのです。

ホームシアターの構築のように、いくつかのサイズの異なるスピーカーを部屋に配置するなど工夫をすることで、ニュートラルに近づけることは可能です。
それぞれのスピーカーがそれぞれのオーディオ周波数を発生させ、ベストな音に近づくのです。

ヘッドホンではこのようなやり方はできません。最もバランスの取れた高価なヘッドホンですら、特定の周波数の再現に優れているくらいのものです。多くの人気のある「ニュートラルなスタジオ・ヘッドホン」は実際には少し「明るい」もので、一般的な消費者はそれをあまり良いと感じないかもしれません。

こういった話は、コアなオーディオ・コミュニティでは繊細な話題です。
もし、より深く潜り込んでみたい場合は「こちら」の記事を見てみてください
※別の記事で紹介予定です。

「本当のニュートラル」を追い求めるよりも、暖かくて明るい(warm and bright)ヘッドホンやスピーカーを試して、好みを見つけるほうがオススメです。

暖かい、ウォームな(Warm)

「暖かい、ウォームな」オーディオ機器は一般消費者の市場で最も人気があります。

ウォームなサウンドというのは、低音域に傾いています。低音とボーカルがより際立っていて、高い音は存在しながらも静かに収まっているような感じです。
ウォームなヘッドホンやスピーカーは「快適(comfy)」で、「活き活きしていて(musical)」、「楽しい(pleasant)」印象を与える傾向があります。 時折、ウォームな音はひどく「こもった(thumpy)」音、そして低音がヘビーに聴こえます。これはウォームさが極端になった例です。

ウォームなサウンドは人気があるという話をしましたが、Beats や Bose は毎年そのようなオーディオ製品を作っています。サブウーファーのないホームスピーカーやサウンドバーですら、ウォームな音になる傾向があります。

低音は強い方がいいですか?映画館のような音を持つヘッドホンがほしいですか?蜂蜜のようなボーカルを聴きたいですか(良い例えだと思いましたが通じますか)?
それならば、あなたはウォームなサウンドを求めているようです。

明るい、ブライトな(Bright)

「明るい、ブライトな」というのは「暖かい、ウォームな」の対義語です。ブライトな機器は高いピッチのサウンドを再現するのに向いています。 レビューなんかで「キラキラしてる(Sparkle)」とか「歯切れのよい(Crisp)」とか「はっきりしている(Clarity)」といった表現をされることがあります。
ブライトなヘッドホンは、サ行の音、もしくはサーッとかシューッという音(hisses)やその他のレコーディングの不完全さを明らかにすることができるという意味で、制作の現場で評価されることがあります。

もしブライトの度が過ぎてしまうと、聴き疲れてしまうでしょう。
高い音が耳障りで、うるさすぎます。いらいらしてしまうかもしれません。ブライトなヘッドホンは、適切にマスターされていない音楽への寛容さが、ウォームなものに比べて足りません。
Grado や Beyer Dynamic はとてもブライトなヘッドホンを作ることで知られていて、絶対的な信頼を寄せているファンが居ます。

 

歯切れのよい音がよいですか?シンバルの音を完璧な精度で、またはアコースティック楽器の微妙な音を感じたいですか? それならば、あなたはブライトなヘッドホンが合っているかもしれません。

耳障りな高音で鼓膜を傷めないようにして下さい。高音は低音に比べて脳に位置を伝えるのが容易なので、ブライトなヘッドホンはサウンドステージが広く感じやすいです。
ちなみに、サブウーファーをどこに設置するかがそれほど重要な問題ではない理由もここにあります。

V型と脳(V-shaped, and the Brain)

ヘッドホンの中には、「V型」のものがあります。
これは、強い高音と低音が特徴的であることからそう呼ばれています。このような音はすぐに脳を楽しませることができます。
私達はこもった低音と、位置を特定しやすい方向性のある高音を好みます。オーディオマニアはほとんどのボーカルや楽器が中央付近にいるように聴こえるため、V型の機器を嫌う傾向があります。ボーカルサウンドが物足りなく、空っぽな感じに聴こえてしまうようです。

脳は、異なるスタイルのサウンドに順応するのが得意です。ブライトなヘッドホンを使ってみるまでは自分のヘッドホンがウォームなものだったことに気づかない事もあるかもしれないし、その逆も同様です。脳はいずれかの音を聴き続けるほど順応し、突然の変化にびっくりするかもしれません。

全てにおいて完璧なヘッドホン、スピーカーは存在しません。
人それぞれの好みがあるほか、完璧にニュートラルな機材もありはしないのです。
良い機材は、何らかの方法でウォームまたはブライトな音になるように微調整されています。なぜなら、技術者がそれを良いと思うからです。

この記事が、皆さんが次回レビュー読む際の役に立つことを期待しています。
音の印象を表現するため、どんなふうにしてこのような複雑な言葉が作られたのかは知りませんが、とても大切なものです。感情的な反応を言葉で表現するのは容易なことではありません。そして「真実を聴く」ために常にベストな事というのは、あなた自身が実際に聴くということと、販売者が適切な返品ポリシーを持っていることです^^

 

おしまい

出典:Audio Dictionary: “Warm” vs “Neutral” vs “Bright,” and the role your brain plays in all this

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